フランス料理の構成
以前にXでこんな投稿をしました。
1分という少ない時間の中で、ボディビルのフリーポーズをどのように構成するかというのは、ボディビル選手を悩ませる課題の一つです。
その多くは、個人の感性・感覚で自由に作られたものが多く、理論があまりないのが現実です。そのため、教わった人の感性・感覚に近い構成になっているのをよく目にしたりもします。
あの選手は、あの先生に教わったのかな?
先生の感性・感覚が、その選手に合っていないことが多いため、万人に通用する理論的なものがやはり必要ではないかと思うのです。
こうしたとき、我々は、世界の歴史や、別の分野で世の中ですでに先人たちが洗練されたものを参考にするとよいです。これらを取り入れていくことで、よいものが作られると考えています。
私の指導では、フリーポーズ構成を最初から私が作ることはありません。その前に、理論的なものを説明して、それに基づいてクライアント自身に作ってきてもらうようにしています。そうしたほうが、よりよいものが作れると考えているからです。
その中で、今回は、歴史あるフランス料理を参考にしてみたらどうかという内容です。
この内容の大前提
このブログで紹介する内容は、あくまで提案です。ここで提案する以外のポージングを否定・批判する意図は全くありません。
私も今でもさまざまなスタイルのフリーポーズに挑戦し、みてくれた人の反応を伺いながら構成を検討している選手の1人です。今回紹介するフランス料理スタイルの構成もしますし、そうでない構成もしたりします。
大事なことは、いろいろ自分で考えたことをやってみることです。今回のフランス料理スタイルをやってみてもいいですし、フランス料理スタイルから、さらに発展したスタイルが産まれることを期待して投稿します。
フリーポーズもLess is more.
ミニマリズムの本質は、ある一点を目立たせるために、他を削ぎ落とす「強調」だ。たとえば、フランス料理はなぜ、大皿の上に少量だけ乗っけるのだろう? 「大皿はキャンパスのイメージでるよ。人の視点は一点にしか向けられないので、絵を分散させると背景になってしまう。だから一点に集める方が説得力が強い」。テレビ番組『情熱大陸』にも出演したシェフ、杉本敬三さんの回答だ。
手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択 ミニマリストしぶ
ボディビルのフリーポーズなどにも当てはまる部分が大いにありそうだなと、これを読んだ時にヒントを得ました。いくつもポーズで埋め尽くすのではなく、自分が見せたい部分を目立たせるために他を削ぎ落としていく。
Less is more. より少ないほど、よりいい。このミニマリズムの真髄がフリーポーズに活きて来そうです。
Less is more. に関する記事はこちらより参考ください。
フランス料理の構成
フリーポーズをフランス料理と似た構成にしたら面白いのではないか。そんな仮説から構成検討してみたいと思います。
フランス料理の一般的なコース料理は、7から8品で構成されることが多いようです。
- 前菜
- スープ
- 魚料理
- 氷菓
- 肉料理
- チーズ
- デザート
フリーポーズもこんな構成にすれば、どうでしょうか。フリーポーズの前菜は?魚料理は?・・・。具体的にみていきましょう。
メインディッシュを作る
メインディッシュは 魚料理や肉料理なのかなと思います。2つくらいがメインディッシュとなるポーズで構成します。自分がやりたいポーズで埋め尽くすと、全てがメインディッシュとなります。強弱のない、淡々としたフリーポーズ構成です。これではメリハリが出ません。
自分が人から良く見えると言われるポーズや自分がいいと思うポーズの中で、2つ選んでみましょう。そのポーズを曲調に合わせて時間をかけて長めにとるんです。これでメリハリが生まれますね。
するとその他のポーズは、引き立て役となります。
7〜8個で構成してみる
1分間という大皿の中に、1つとは行かないまでも、幾つもポーズで埋め尽くしてしまうと、強調したい・自分がアピールしたいポーズが際立ちません。
フランス料理同様、7から8個程度見せれば良いのではないかと考えるわけです。余った時間は、つなぎ=間となり、ポーズへの印象を強めることにつながります。
ですので、10個以上で構成されているフリーポーズには、空間・間が存在しないため、それぞれのポーズの印象が分散されてしまい、印象に残らないフリーポーズになってしまう可能性があります。
メインディッシュとして決めた2つのポーズ以外に、5〜6が前菜・スープ・デザートetcとなるわけです。
ポーズの数が多ければ多いほど、難しいポーズをすればするほど、良いフリーポーズにはなりません。数は少ないほど印象に残ります。ただし、極端に1つ、2つなどと言うのがいいわけではないです。
料理と料理の間はリラックス
料理と料理の間は、一緒に料理をしている人と談笑したり、お酒など飲み物を飲んだり、スピーチを聞いたり、ちょっと一息リラックスする時間です。
ボディビルのフリーポーズでも同じです。リラックスして、力を抜くんです。多くの初心者はポーズとポーズの間の移動(つなぎ・トランジションなどと言いますが)の間、ポーズをするのと同様、非常に力が入ってしまいます。ここはリラックスしていいんです。
ポーズの数だけなく、力もLess is more.にするべきなんです。
引き立て役は、控えめでよい
引き立て役(前菜・スープ・デザート)は、メインディッシュの引き立て役、お口直しですから、メインディッシュより目立ってはいけません。
フリーポーズにおける引き立て役とは、何か・・・。
- プレアクション
- メインディッシュではないポーズ
- ビキニなど競技服
- アクセサリー
- メイク
こんなところでしょうか。
プレアクションは、極端にこだわる必要はないわけです。引き立て役・脇役です。滝藤賢一です。主役より目立ってはいけないんです。
メインディッシュではないポーズは、メインディッシュを引き立てるよう、短めでいいんです。
ビキニは、身体を引き立てるために、色をギラギラにしたり、多色にしたりすると身体に目がいかなくなります。お金をかけすぎず、控えめにした方がいいです。
アクセサリーも、高額化が進んでいますが、その必要ありますか?身体を引き立てるレベルのものでよいんです。
メイクバッチリなのに、絞れてない身体で出てくる人。半沢直樹で、滝藤賢一が目立って、堺雅人が目立ってないようなもんです。
フランス料理を参考にすると、こんなにもフィットネス大会での準備に参考になることが多いんです。
フリーポーズ構成作業の大半は削る作業
M2 Posing Lab.では、フリーポーズ構成でお悩みで来られる方がいらっしゃいます。
私の方で、構成の作成はしていません。作ってきてもらいます。
初心者の方には、このフランス料理構成をおすすめしています。
構成するポーズの数も少ないですし、
メインディッシュの2つをしっかりとれればいいですから。
作ってきてもらったフリーポーズへの手入れの一番はじめは、
いつもほとんどがポーズ数を削る作業から始まります。
もし同じようにお悩みで構成のお手伝いを希望される方は、ぜひ7から8個のポーズで構成してみてからきてみてください。そのうちメインディシュを2つで。これだけでもそんなに悪い構成ではないはずです。
まとめ
- Less is more. を基本に考える
- フリーポーズはフランス料理
- メインディッシュとなるメインポーズを2つ用意
- 7から8つのポーズで構成(数のLess is more.)
- 間となるプレアクション、ムービングは力を抜く(力のLess is more.)
- 脇役を目立たせない
綺麗にポーズをとることも非常に大事ですが、それよりも全体的な構成・間をLess is more.にすることを考えて、フリーポーズ構成を考えてみてはいかがでしょうか?
最後に、ボディビルは芸術です。先代の芸術家たちが大事にしてきた考え方であるLess is more.を取り入れることは、非常に重要なことだと思います。芸術的なフリーポーズを作り上げて会場を沸かせてください。
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